違う見方

新しい時代の始まり。複数の視点を持つことで、情報過多でややこしい現代をシンプルに捉えるための備忘録的ブログ。考え方は常に変化します。

2001年9月11日の不思議な記憶

2001年9月11日の少し変わった思い出話。

 

 

 

 

この日わたしは出張で大阪に来ていてシャワーを浴びホテルの部屋でくつろいでいた。

 

今にして思うと、不思議な時間の流れを体験していた。

 

記憶と、改めて調べた実際の間にかなり隔たりがあったのだ。

 

 

ホテルのテレビにはCNNのチャンネルがあった、画面には一棟のビルから黒煙が上がっていた、不思議なことに音声は何も流れてこない、ボリュウムのせいではなくカメラの周辺のざわざわとした雰囲気は音として流れているが、現場とは距離があるような映像だと記憶している。

 

アナウンサーや解説者のような事態を説明する音声は全く流れていない。

 

これが事件ならば日本でも報じるはずと思った。

 

実際に一機めの機体がビルに突っ込んでいたのはアメリカ時間の朝8時46分、日本は13時間早いので夜の9時46分、すぐにチャンネルを色々変えたがどこもやっていない。

 

もしかしたらこれは事件や事故ではないのかもしれない、そういう思いが浮かんだ。

 

老朽化した高層ビルを解体する前にタワーリングインフェルノのようなパニックムービーの実写版撮影でもやってるのかもしれない、アメリカだったらやるかもしれない、だから映像を流すだけで音声のフォローがないのかもしれないとも思い始めた。

 

しかし、あまりにも動きがない映像に、これは番組として成立するのだろうかと思い始めると、もしかして解説のしようがない出来事が起きているとしたらやっぱり事件だ、そう思い色々チャンネルを変えるがどこも何も放送しない。

 

わたしの中では、CNNと日本のテレビ局を行ったり来たりしてる時間は1時間以上あったような記憶になっているのだが、実際に調べてみると数分の出来事だったのだ。

 

もう間もなくニュースステーション(今はないテレビ朝日系の報道番組で開始は21時54分)が始まるがそれで何も触れなければもうこの話題は忘れようと思っていると、ニュースステーションの冒頭がビルの映像だった。

 

やっぱり事件だったんだ。

 

Wikipediaでも日本の第一報はニュースステーションだと出る。

 

 

一機目がビルに突っ込んだのは日本時間の21時46分、現地のCNNが映像を切り替えたのが21時49分から。

 

わたしがたまたまCNNを点けた時間はどの瞬間だったのだろうか?

 

 

日本での第一報が放送されるまでわずか5分しかなかったはずなのに、脳内ではものすごく間が空いていたような記憶なのだ。

 

 

なんの説明もなく高層ビルから煙が上がっているという非日常に接したことで、わたしの脳が事態を正しく処理できなかっただけだろうが、そういう人は世界中に大勢いたのかもしれない。

 

この件に関しては、記憶の風化が20年かけて進んだのではなく、20年前に発生した瞬間にずれてしまっていたのだ。

 

知識レベルではギャップは埋められたのだが、記憶が薄らいだり消えるわけではない。

 

なんとも不思議な思い出の一つだ。