違う見方

新しい時代の始まり。複数の視点を持つことで、情報過多でややこしい現代をシンプルに捉えるための備忘録的ブログ。考え方は常に変化します。

スポーツ界でも出始めた『#MeToo』!

今朝、こんな話題が出てきた。

 

強い人が、いじめを受けてるというニュースだ。

 

五輪4連覇・女子レスリング伊調馨が独占告白 栄和人強化本部長からの「陰湿パワハラ」 - 「週刊文春」編集部

伊調、栄氏の双方と親交の深いレスリング関係者が事情を明かす。

 

「栄さんは五輪3連覇で国民栄誉賞を受賞した吉田沙保里をはじめ、計6人の金メダリストを輩出しています。

紛れもなく女子レスリング隆盛の立役者です。

その圧倒的な実績を背景に強化本部長に君臨し、レスリング協会で絶大な影響力を持つようになった。

 

伊調への嫌がらせは2010年頃に始まり、エスカレートするばかりです。このままでは東京五輪はとてもじゃないけど目指せない。本人もそう話しています」

 

 

この事件、額面通りに受け取ると、指導者が選手をいじめてるとなり、その根底には、"選手は指導者の従属物"という考え方があるように感じる。

 

高校野球で甲子園の常連校では、監督が異様に強い権力を持ち、学校もプロのスカウトも、まずは監督にお伺いをたて、監督の了承を取り付けることで話がスタートする。

 

なぜ監督や指導者がこんなに力を持つのか?

 

高校野球強豪校 監督に求められるのは指導力よりスカウト力 2016.08.07

甲子園常連の地方の強豪校には、地元出身者がほとんどいないことが多い。

かつて日本学生野球憲章で禁じられていた「野球特待生」が横行していることが発覚し、2012年に各学年5人までとする新たな制度がスタートしたが、すでに形骸化している。

「成績優秀」などといえば、実質的には野球特待生を入学させることが可能なのだ。

禁じられている野球ブローカー(報酬あり)による斡旋入学も裏で横行している。

監督自ら選手獲得に乗り出すことも多い。

 

スポーツの世界では、"選手=商品"で、選手の場合は人間なので作ることはできない。

 

必然的に、"見つける"ことが求められ、見つけた後は"育てる"が重要になる。

 

このため、監督や指導者と選手の関係は、擬似的な親子関係に近くなり、周りの人がその間に割って入ることがためらわれる関係性が出来上がる。

 

一人の名選手だけを生み出した指導者よりも、そこそこの選手を何人も輩出する指導者の方が評価される、その方が便利で重宝だから。

 

ビジネスの世界でも、年に1回だけ大きな成績を上げる社員より、毎月コンスタントに安定した挙績を上げる社員の方が、上司や会社からは受けが良い、同様に大きな買い物をするけどいつ買うかわからない客よりも、常に買い物をしてくれる客のほうが有難がられる。

 

現代は、予測や予想に基いて計画を立て行動するので、"当てに出来る"ということが何よりも求められる。

 

 

プロスポーツの場合、選手寿命が短いので、選手自体よりも、次々に選手を輩出する指導者の方が評価されやすい、と言うのが業界の考え方で視聴者や観戦者としての目線と決定的に違っている。

 

スポーツの世界で、監督や指導者が権力を持つことで、選手を従属物化できるのは、スポーツ業界がスポーツが持つダイナミズムと正反対の予定調和を求める気持ちが強いことが起こしている。

 

色んな分野で、未だに人間の従属物化がまかり通っている。

 

そういうことは、内部の人しかわからず、表に出にくい。

 

昨年末から急激に盛り上がった"#MeToo"は、そんな従属物化に『No』を突きつけているのだ。

 

おそらく、伊調選手や支持者は相当悩んだだろうが、この期を逃してはいけないという思いがあったのだろう。

 

#MeToo運動は、男性社会に虐げられる女性ということで顕在化した。

 

さらば「男支配」#MeTooは女性のピューリタン革命だ 血祭りに上げられるセクハラ男 どうする日本

1990年代に、個人主義や多様性を尊重する第三の波が起きたという指摘もあります。

今回の「#MeToo」運動の本質は、男女平等の社会を実現しようと思えば、その中核にある男支配を絶たなければダメだと女性が覚悟を決めたことにあるのかもしれません。フェミニズムが最終段階を迎えるという意味で非常に大きな意味を持っています。

 

家父長制が色濃く残る日本では伊藤詩織さんの実名レイプ告発、はあちゅうさんのセクハラ告発への風当たりが強いようです。

 

日本は海外の動きに呼応するのでしょうか。アメリカやイギリスの「#MeToo」運動がどんな形で、どこまで突き進むのかますます目が離せなくなってきました。

 

 

伊調選手の問題は、女性の問題として顕在化したわけではない。

 

男だって納得できない#MeTooがあるということが表に出始めた。