NHKは、この数年正月に「欲望の資本主義」と銘打った番組を放送している。
視聴者に答えを提示する番組ではなく、「あなたはどう考えますか?」と、問いかける番組だ。
ちなみに、昨年の放送のキーワードを記すと、
BS1スペシャル「欲望の資本主義2018~闇の力が目覚める時~」
資本主義は、自壊する。
その成功ゆえに、自ら壊れる。
ヨーゼフ・A・シュンペーター
「テクノロジーが成長を生まない時代が
到来した。その理由は…」
経済学者 ダニエル・コーエン
「成長がなければ、
資本主義を名乗る資格はない。しかし…」
経済ジャーナリスト ウルリケ・ヘルマン
「いよいよ闇の力が目覚めたようだ。今こそ…」
チェコ総合銀行 アナリスト トーマス・セドラチェク
「資本主義の本質は、ある意味、
ショウ=見世物なのです。だから…」
哲学者 マルクス・ガブリエル
そして2019年、今年の放送の中から印象的だった部分に、若干の私の思いを加味したものを以下に備忘録として記してみた。
今年のキーワードとして上げられている言葉は、
BS1スペシャル「欲望の資本主義2019~偽りの個人主義を越えて~」
「GAFAの強大な影響力こそ
資本主義の深い病のしるしだ」
起業家/経営大学院教授
スコット・ギャロウェイ
「仮想通貨は社会の役に立たない」
ノーベル賞受賞/経済学者 ジャン・ティロール
「何百年かの間に特定の何人かによって
作られた制度…それが資本主義だ」
歴史家 ユヴァル・ノア・ハラリ
「今の市場の混乱は ハイエクのせいだ」
経済学者/英上院議員
ロバート・スキデルスキー
「経済の自由の前に 忘れられた自由がある
それは…?」
哲学者 マルクス・ガブリエル
以下は、私が気になった言葉を記すが、放送で言ってた通りの言葉もあるが、私なりの解釈をした言葉もあり、まとまりのある文章としてではなく、一文一文が独立している。
Googleは神
Facebookはつながりと愛
Amazonは消費の殿堂
Appleは「自分を魅力的に見せる」セックス
この4つの巨大プラットフォーマー企業は、人間の本能を取り込んだ。
そしてこれらの企業は国家を超え始めた。
これまでの歴史では、企業が巨大化すると、国家が分割し、小さくすることで競争を促進したが、それができたのは電力など国内の枠に留まる話だったから。
あまりに巨大化し競争原理が働かなくなり、そしてそれがグローバル化で国家を超えると制御することが不可能になる。
そして、その成り立ちはイノベーションであっても、独占企業が革新的であり続けることはできない。
もてはやされるM&Aもやっていることは競争原理の排除だ。
SNSは「いいね」やフォロワーを集めるカジノ。
GAFAは、儲けるのはプレイヤーではないという意味で最もダーティなカジノ。
インターネット上でニュースを見たり、取引をしたり、活用することはGAFAのために労働をするようなものであり、それは搾取そのものだ。
GAFAは、監視資本主義。
監視資本主義はやがて中央集権型のシステムになる。
自由を求めての行動が、がんじがらめの束縛へ向かっている。
自由(=競争)vs平等(=管理)
国家vs市場
「自由」に「計画」を持ち込むと独裁が起こるのか?
それとも、行き過ぎた「自由」が独裁を生むのか?
自由を全面肯定したハイエクは、権力が腐敗することは指摘していたが中央集権を否定しなかった。
仮想通貨は、信用を国家ではなく技術(ブロックチェーン)に委ねたということになる。
技術で中央集権化に対抗する。
一般的には「資本主義vs社会主義」と位置付けるが、今後は「資本主義✖️社会主義」もありうる。
私的所有の概念がある限り、「独占」へ向かう。
個人が国家の考えに左右されない自由こそが真の自由か?
全ての悪を消そうとすれば、多くの善も消える(トマス・アクィナス)
本来の「自由」とは、自らの「イメージ」を作り出せる可能性のことで、できることはその方法を見つけ続けることだけ。
終わりに感想を書くと、
時代の進化を支えるのが高度なデジタルシステムに移行すると、人間に最後残るのはアナログな生身の肉体だけになる。
生身の肉体を、どう解釈し、どう活かすか?
これからは、それが問われ続けると感じる。