時々寄る公園がある。
藤棚が広く良い感じに日陰と風を感じさせてくれるので今の時期でも気分転換に使える。
ベンチもあるが、1人掛け出来るような石が数個あるので、行くと一番端っこの石を、ネットをしたり、ブログを書いたり、本を読んだりするために利用することが多い。
この公園の存在を知って3年くらい経つが、初めての体験をした。
1人ベンチに先客がいた、男性で年齢は多分50歳前後だろうか。
わたしはその人に背を向けるように座っていたのだが、ぶつぶつと喋り声が聞こえてくる。
最初は携帯で誰かと喋っているのかなと思った。
こういう時の携帯の喋り声は興醒めさせられるので好きではないが、どうも様子が違う。
声は断片的にしか聞こえないのだが、電話ではなさそうなのだ。
もしかして独り言?
だとしたら背中を向けてるとヤバいかも、いきなり刺されたらどうしようなどと思い始めた。
背後の声や物音に注意してると、徐々に声が大きくなってきた。
おそらく、わたしが背中を向けてることとiPadに向かっているのを見て、少し声を大きくしても大丈夫だろうと判断したのかなと感じられた。
断片的にしか聞こえないので内容のごく一部しか聞き取れないが、明らかに聴衆を意識したような喋りで、時折『えっ、どういうこと?』とか聞こえてくる。
なんとなく台本でも読んでるのかなという気もしてきた。
時折立ち上がって喋ってる気配もするし、身振り手振りを交えてる気配も漂ってくる。
振り返りたい衝動を抑えながらiPadで遊んでるふりをしながら背後に全神経を集中させていた。
ビジネス絡みの講演の練習でもしてるのだろうかとも感じた、それっぽいワードが出てくるからだ。
所々に笑いを取りに行ってるのかなと思しき喋りが出たりする。
相手のリアクションを想定しているような喋りも随所に出てくるので、演劇の脚本に従っているようにも感じられる。
役者という感じはしないので、脚本に携わる側の立場かもとも思え始める。
笑いも交えながらどこか啓蒙的な雰囲気もあるので、プレゼンテーションの練習かもと思えなくもない。
セリフ風の喋りもあれば、ナレーションのような喋りもある。
練習してることだけは間違いなさそうだが、何のためなのかは結局よく分からないままでその方は去って行った。
人前で喋る機会は突然訪れる場合もあれば、予め日時が分かってる場合もある。
予め分かってる場合は、ほとんどの人がなんらかの準備をするだろう。
せめて、テーマぐらいは設定するだろう、テーマが予め決められてる場合だとどういう切り口で展開しようかくらいは考えるだろう。
俳優や漫才師で無名な人たちは練習場所が公園しかないという人はいてもなんの不思議もないが、出会うと不思議な気がするだろう。
公園で出会った男性がどういう方かは全く分からないに等しいのだが、自分が逆の立場だったらどうするのだろうかと考えさせられた。