コロナが世間の心配事になった2020年の2月。
その頃から言語明瞭ながら意味不明瞭なことばである不要不急が日常会話に仲間入りした。
そのことはGoogleTrendsでも確認できる。
ことばとしての認知度はおそらく全国的なはずだが、関心の度合いとして高いのは都市部だけなのだ。
不要不急が自分事なのは都市部だけなのかもしれない。
不要不急をどのように捉え解釈するかは社会の共通認識のように扱われがちだが、実際には一人一人の価値観や良識に委ねられてる。
コロナ禍になって1年半が経過して、不要不急の代表格は外での飲食になり、飲食店が辛い立場に追い込まれている。
不要不急の反対の意味を持つことばとして、必要不可欠の意味を持つエッセンシャルもやがてクローズアップされるようになった。
医療従事者やインフラや安全安心を維持するために働く人々をエッセンシャルワーカーと呼ぶようになった。
エッセンシャルということばは従来から商品名やサービスの名称にも使われることが珍しくなかったが、GoogleTrendsで不要不急と比較すると、見事にリンクしてることが感じられた。
不要不急が敬遠されるようになると、飲食、旅行観光、広い場所や会場でのエンターテイメントやスポーツだけでなく、学校やオフィスもそのターゲットにされるようになった。
そうなって初めて気付いたのは、現代社会は不要不急で成り立っていたということだ。
一見、不要不急の反対語がエッセンシャルのように感じるが、実態は不要不急もエッセンシャルだったと思い知らされている。
不要不急とエッセンシャルは、反対語の関係でありながら同義語でもあるという実に不思議な関係なのだ。