YouTubeで見つけた30年前のドラマを見た。
当時はサスペンスとして描かれているのはあまりにも奇妙な話だからだろう。
当時このドラマを見ていたら、こんなあり得ないことを描くなんてと仮定の話にしてもレベルが低いというか脚本代をケチったとしか思わなかっただろう。
しかし、30年後の今見ると実に味わい深いのは、現代がまさにそうなっているからだ。
ドラマのあらすじをざっと書くと、
主役である鹿賀丈史さん演じるある企業の課長が、大卒新入社員の母親が団結して作った息子を守る会の対応を命じられて起こるドタバタ劇。
息子たちが嫌がる一切の行為をやめるように会社に求めるもので、酒やタバコに巻き込むことはもちろん、残業もダメ、仕事上のミスを怒ることもダメと。
そして、それが実現に向けて動きそうにないと、息子たちを一斉に全員出社拒否させたりと行動がエスカレートし、それに対して会社は課長に全てを押し付けて逃げ腰という展開。
このドラマが放送された当時の世相を十分に知ってる身としては、今見るからこそこのドラマがおもしろかった。
30年前だとあり得ない話を低レベルに描いているとしか思えなかったことが、30年後の現実を予測してるかのようだからだ。
各種のハラスメントが一斉に噴出するようになったのは最近10年だが、実際には水面下で20年の戦いを経て顕在化したと思えたからだ。
世の中に動きが生じる場合、その動きが誰の目にも明らかになるよりかなり前から物語としては動いているのだ。
今は30年前の30年後だと思うと感慨深い。