自民党の高市早苗総裁が新総裁選出後のあいさつで「全員に馬車馬のように働いていただく。私自身もワーク・ライフ・バランス(WLB)という言葉を捨てる」などと発言したことを巡り、世間の一部がざわついている。
一定の浸透をすでに達成してるであろうワーク・ライフ・バランスというワードだが、実際には扱いが難しいだろう。
ブラックな環境だと思われないためには必要な配慮だし、自分や家族の心身を守るためにも必要なことだが、生産性が低い各種の現場ではワーク・ライフ・バランスを無視した根性論しか拠り所が無いはずだからであり、成果は上がらないが忠誠心は誰にも負けませんというアピール以外に自分を正当化できない日本人は実は意外と多いはずだ。
案の定、高市さんのこの発言は揚げ足取りや曲解され話題になっている。
浸透してる割には扱いが雑だったワーク・ライフ・バランスが、図らずも高市さんの発言で注目を浴びる結果になったとすれば、実はナイスだったかもしれない。
多くの人が自分や家族がワーク・ライフ・バランスを無視した環境で従事させられるのはゴメンだが、無関係な人が好きでやるんだったら別に構わないという本音の再確認になったからだ。
高市さんは『ワーク・ライフ・バランスを捨てる』と発言した翌日に
記者団に「皆様はワーク・ライフ・バランスを大事になさってください」と声をかけたことは予想外の反響に驚いたからでもあるだろうが、自分の発言が世間にインパクトを与えたという意味ではしてやったりの思いも強いだろう。
世間はきっと高市さんのことをワーク・ライフ・バランスの人として記憶するとしたら、そんなつもりはなかったかもしれないが作戦成功となる。