違う見方

これから時代はどう変化するのかを時事ネタを交えて考察。考える際のヒント。気付くためのヒント。

『億万長者』VS『億り人』

秘め事だった収入や資産は、アピールの材料になり、今では格付けの対象になっている。

 

資産数億円では一般人?プライベートバンクや国税庁が定める富裕層の基準とは

日本では、野村総合研究所が公表している「純金融資産の保有額による階層分類」が富裕層の基準として定着しているようだ。

 

具体的には日本の全5300万世帯をマス層(純金融資産3千万円未満)・アッパーマス層(3千万円以上5千万円未満)・準富裕層(5千万円以上1億円未満)・富裕層(1億円以上5億円未満)・超富裕層(5億円以上)に階層化する。

 

 

億単位の収入を手にするという話に驚きも新鮮さも感じられなくなってずいぶん経つが、全員の平均を出すと、バブル景気の頃をピークにしばらく維持した後は下がり続けている。

 

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http://www.garbagenews.net/archives/2064608.html

 

 

億という単位が生活の身近な話題になった最初はプロ野球選手かもしれないと思い調べてみると、日本のプロ野球選手の年俸が初めて1億円を超えたのは、落合博満の1億3000万円で1986年の出来事だとわかった。

 

あの王、長島でさえ年俸1億を獲得してなかったのだ。

 

王、長島の時代からざっくり10年後に1億円を突破したのだが、実質的な価値は物価と照らし合わせて判断すべきかもと思い、物価の推移を見てみた。

 

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http://www.garbagenews.net/archives/2064125.html

 

1970年〜1990年の間に物価は約4倍になっている。

 

この物価が急上昇した時期は、プロ野球の人気は圧倒的だったので、選手の年俸は物価と連動すると言うよりも、年俸は人気や実力で『獲得』するというイメージがあったし、この理屈は今でも十分通用してるし、プロ野球だけでなくビジネス全般に通用している。

 

なんとなく馴染みがある億万長者という言葉のイメージにピッタリ来るのが有名芸能人達だが、プロ野球選手ですら年俸1億円を突破したのが1986年だとすると、実質が伴いだしたのは最近なのだが、億万長者という言葉は、それよりもずいぶん前からあったような気がする。

 

もしかしたら、億万長者というのは、実現できるとは思われてない夢のようなものとして使われていたのかもしれない。

 

"億万長者"と検索すると、言葉としての由来というわけではなさそうだが、映画のタイトルにもなっていた。

 

億万長者

1954年公開の日本映画。監督・脚本:市川崑。出演:木村功久我美子山田五十鈴伊藤雄之助、信欣三、高橋豊子、岡田英次ほか。第9回毎日映画コンクール女優助演賞(久我美子)受賞。

出典小学館デジタル大辞泉プラスについて

https://kotobank.jp/word/億万長者-451831

 

 

 

 

レビューを見ると、億万長者として描かれているのは企業家や政治家だが、最も億万長者として描かれているのが税務署の職員という社会風刺ドタバタドラマらしい。

 

億万長者は、夢や憧れの対象というよりも、むしろ風刺や皮肉の対象だったのだ。

 

 

翻って現代は、自分自身は億万長者にはなかなかなれないが、知り合いの知り合い程度まで話を広げると誰か該当する人がいたりする程度の、さほど珍しくないものになっている。

 

最近は、億万長者のことを"億り人"と呼んだりする。

 

Google Trendsを使って、「一億円」、「億万長者」、「億り人」を期間を検索可能な2004年以降で比較すると、

 

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面白いのは、2004年以前は「億万長者」は単語としてもっと勢いがあったであろうことが想像できる。

 

漠然とした「億万長者」は、やがてより現実味のある「一億円」に落ち着いてきたようにも見える。

 

「億り人」は、仮想通貨の流行で生まれた最近の言葉だと思っていたが、2007年頃から投資の世界で使われ始めていて、私が検索した範囲ではIPO(新規公開株)の世界で使う人が出ていたとわかった。

 

これら3つの言葉には、理由は不明だが、地域差が見られたことも面白い点だ。

 

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「一億円」に関しては、全国に広く浸透しているリアリティのある言葉だとわかる。

 

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「億万長者」は大都市および首都圏、関西圏という広域経済圏で反応が得られてるが、そんな中で例外的に宮崎県がかなり強く(色の濃さが示してる)反応してるのがおもしろい、不思議に思い調べてみると、既に閉店されてるようだが"億万長者"という名前の居酒屋があったとわかった、おそらくこれに反応していたのだと思われる。

 

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そして「億り人」は見れば分かるように東京でのみ反応が得られてる。

 

億り人の話題の中心は仮想通貨で、インターネット環境があれば基本取引はできると思うので場所は関係ないと思うのだが(私はよくわかってない)、"億り人"に反応しているのが東京だけだというのがおもしろい。

 

億単位のお金に縁がある人中にも、格差が広がっているだろうことが想像できる、言葉はオープンに広まるが、実際にはすごく閉ざされた世界がありそうだ。