私が初めて『匿名』ということばを知ったのは、中学生になってからで、ラジオを聞いていて、リスナーからの投稿を読んでる際に、投稿者のことを「匿名希望さん」と言ってるのを聞いた時だ。
ラジオへの投稿には、プレゼントを手に入れることも目的の一つだったりするから、その場合は住所氏名が明記されてるはずだ。
"とくめい"ということばを最初に聞いて以降、かなり長い間、辞書を引くこともなく、"とくめい=特名"だと思っていた。
"とくめい=匿名"と完全に一致したのは、成人してからのような気がする。
実生活のどこにも匿名を必要とする状況がなかったからだ、ということはすべて実名発信をしていたということになる。
それ以前に、発信自体が殆どなかったと言えるが。
ラジオを聞きながら、"とくめい"が漢字で書くと匿名だと分かってなかった人は実はかなり多かったと思う。
ウィキペディアで匿名を見ると、使われる状況が2つに分類されている。
一つは、ラジオのケースと似ているが、ネット上のコミュニケーションで、自分を特定されたくないという思いでの匿名なのだが、その理由は今と昔では少し違うかもしれない。
昔は、自分が考えたり、思っていることを、知られるのが恥ずかしいという思いが強かったように思う、人前で発表したり、自己主張が苦手な日本人らしさは、今よりももっと強かったと思う。
私が、ブログを匿名でやっているのも、この恥ずかしさの気持ちが一番大きい。
残りのもう一つは、報道に関するものだ。
情報発信源(=情報提供者)を明かさないということであり、事件の種類によっては、関係者のプライバシーを守るという意味で使われる。
以前、実名or匿名!?というエントリーを書いたが、その際にはまだGoogle Trendsを知らなかったので、今回はGoogle Trendsを活用してみたい。
元々は、実名がわかることの不都合を回避するための意味合いが大きかったが、そこを逆手に取って、追求されにくい立場としての匿名性を使い、自己に都合が良いことや、あるいは実名で発信するにはリスクがあることを、発信するために用いられるようになっている。
Google Trendsで"実名"と"匿名"を検索可能な2004年以降で比較すると、
2012年7月と2015年3月に大きな山があるが、調べてみると、2012年の方は大津市中2いじめ自殺事件を受けての実名報道が炎上していたらしいとわかる。
"大津いじめ自殺"を加えて比較すると、一致した。
2015年の3月にも少年が被害者になる川崎市中1男子生徒殺害事件があり、そこでの報道における実名が問われていた。
同様にGoogle Trendsで比較すると、
実名or匿名という比較で捉えたいと思い今日のエントリーを思いついたが、当初はFacebookの登場が実名に拍車を掛けたのではと思ったが、実名が社会問題になる時は、被害者はとんでもない目に合わされていることが分かる。
発生の確率や頻度でいうと無視していいレベルかもしれないが、実名は失敗すると取り返しがつかないとわかる。
ネット界における匿名or実名の論争は面白い。今年ブレイクしそうなfacebookは実名制。しかし、日本において実名をネットに晒すことは、誹謗中傷やプライバシーの侵害など、一部の有名人、政治家を除く一般人には危険極まりない印象をもつ。ネットとリアルの遊離は収束するのか?
— 今日も逝っとけダイヤ@快特 (@alitalia_t) January 10, 2011
twitterが日本に入ってきたのが2008年だが、古いツイートの中に実名や匿名について語っているものがないか探してみた。
匿名or実名というより、ネットと現実を切り離したい派と、もっとネットと現実を密接に結び付けたい派の争いじゃない? 個人的には後者の方向へシフトしていくべきだと思ってる。(実名制を支持するわけじゃないけどね) http://bit.ly/6Hl6nD
— 清水正行 (@_shimizu) December 7, 2009
@kenichiromogi 中学生時代、何で天声人語が匿名かについて先生が、「会社で一番文章のうまい人が書いていて、他の新聞社にその人が誰か知られたくないから」と言っていたのを思いだした。
— hakushu_TYX (@hakushu2009) September 7, 2010
匿名にする理由は、一般的には"隠したい"からと思われるが、実は似て非なる"知られたくない"という思いかもしれない。
Google Trendsに"知られたくない"を加えて比較すると、
おもしろいのは、反応してるのは都市部だけなのだ。(実名も匿名も全国的な反応)
いろいろ"匿名"に関して調べていると、知られたくない相手として、"会社"や"身近な人"が出てくる。
これは、なんだか"裏切り"を警戒する気配がプンプン匂うなと思い、Google Trendsに加えて比較すると、
Facebookの登場以来、実名発信することが基本のように言われてるが、既に実名発信してる人以外は、もう少し待っても良いかもしれない。
実名発信は、信頼性が高いという意見はよくあるが、実名発信してる人が必ずしも信頼されてるわけではないし、匿名やペンネームだからと信頼されないわけではない。
迷った時には、よりストレスが少なそうな方を選べば良いだろう。