2010年前後が最も市場が拡大してたのがカメラ業界。
そんなカメラ業界がそれ以降急激な衰退期に陥ってることは誰もが知る事実。
そして、その理由がスマートフォンにあることも誰もが知る事実。
そんな当たり前の事実を少し過去に遡って俯瞰で見るとおもしろかった。
製品にはライフサイクルというものがあるが、市場にライフサイクルがあるという言い方はあまりしないが、カメラ業界は市場喪失に直面している。
<参考>
https://ja.wikipedia.org/wiki/製品ライフサイクル
売上や出荷台数が若干下がり始めた2012年頃は、カメラ業界はスマートフォンの影響を受けながらもまだ楽観的だったことは2012年に出ている次の記事からも感じられる。
これは、デジカメが高機能モデルへとシフトしていることを示しています。各社とも高級コンパクトや多機能タイプなど、カメラとしての魅力を強化したモデルに力を入れており、私たちユーザーにとっては魅力的なカメラが増えることを意味します。
それから8年、スマートフォンを取り巻く技術環境も大きく進化したことで、高級カメラ市場も浸食され始めたのだ。
それだけではなく、現代人のライフスタイルの中心にスマートフォンが位置するようになってきたことの影響も大きく響いているのだ。
その結果、今年はコロナのせいだけではなく次のようになってしまった。
カメラ・写真の世界は、プロカメラマンやプロ向け機材を頂点としたピラミッド構造になっていた。
しかし、デジカメの登場から今日までの進化に加え、写メールからスマートフォンに続くカメラの流れは、決定的に市場を変えてしまった。写真が手軽で身近なものへと「民主化」が進んだ。もはやプロはあこがれの存在ではなくなり、プロ機材も「いつかは手に入れたい」と思うほどの存在でもなくなった。
ライカは、こうしたヒエラルキーの象徴的ブランドともいえる。世界的には、販売台数の8割以上が日本メーカーで占めるデジカメ市場。しかし、ライカというブランドは別格だ。異論は多いだろうが、数あるカメラメーカーの頂点にライカを置くと「座り」が良かった。ライカを生んだのがドイツだ。そのドイツで開かれるカメラの見本市こそ、世界の頂点ともいえるカメラの祭典、という位置づけだったわけだ。
しかし、現地ドイツですら、ライカのブランド力は弱まっている。それ自体知らない若者も増えているという。ライカは、とっくの昔に憧れのブランドではなくなってしまったのだ。
この記事が伝えてるおもしろさは、スマホに駆逐されつつあるカメラ界では、従来の枠に留まるプロというジャンルも消滅させようとしてることを伺わせていることにある。
気の利いた素人の方がより魅力を発揮できるということかもしれない。
そんなカメラ市場の中で、まだまだ規模は大きいとは言えないが伸びてるジャンルにアクションカメラがある。
個人的には、スマートフォンがカメラ市場を駆逐したのはモバイル性の高さにあると感じてるが、生活の身近にカメラが位置する現代ではスマートフォンですらモバイル性に難があるという状況での需要が増しているからこそアクションカメラが伸びるのだろうと感じている。
一種のニッチ市場だけに、王道を歩みたがる既存の大メーカーには苦手分野かもしれない。
既存のカメラ業界がベクトルを変えられるかが問われているように感じるが、スマートフォン以上の高画質などに活路を見出そうとしてる限りきっとジリ貧だ。
スマートフォンは、他のジャンルとしては、金融や決済業務にも影響を与え始めてるが、カメラほどではないのは分かりにくさとセキュリティという二つの壁がまだ立ちはだかっているからだろう。
スマートフォンに何でも統合されていくのはモバイル性の高さであり、それを支える要は通信技術なのかもしれない。
いつの時代も肝心要なものは地味な裏方になる。
スマートフォンに替わる技術の話は度々話題に上がるが今ひとつピンとこないが、スマートフォン市場自体が2010年頃のカメラ市場のようにも感じられる。
具体的にスマートフォン市場を脅かす存在が明確なわけではないが、市場がいろんな意味において飽和状態に達しつつある気配は感じられる。
日本に限った話だが、スマートフォンの普及のキッカケになったのは2011年の東日本大震災だった。
被災地では通話やメールができないガラケーが続出する中でスマホを使ったSNSでの安否確認や現地の情報伝達が可能だったことが大きなインパクトになっていた。
スマホに替わるモノが現れる時は、その直前に大災害が起きるのかもしれない。
くわばら、くわばら。