わたしを含めて日本国内でドメスティックに生きてる人は、少々情報アンテナを広く張ってるつもりでも、実際には狭い偏った情報に振り回されていそうな気がするという話。
コロナに関しても、情報に基づいての行動や判断というよりも、自分の性格に基づいて楽観的だったり悲観的に行動したり判断したりしてるだけで、さらに言うと自分の周りの人と同じ行動を取ったり、あるいは反発してるだけに過ぎないとすら言えるかもしれない。
医者や政治家、有識者を含めて皆バラバラだし、ニュースや報道が伝えることも内容を疑い出したらキリがないくらいバラバラだ。
こんな時に役に立つのは、生活に密着したレベルで発される情報だ。
おもしろい本を見つけた。
9つの地域の実情を、現地在住歴が長い日本人の目を通すとどのように見えていたのかを示すことで構成されている。
- ニューヨーク(アメリカ)
- 上海(中国)
- 台北(台湾)
- ホーチミン(ベトナム)
- シェムリアップ(カンボジア)
- ソウル(韓国)
- バンコク(タイ)
- パリ(フランス)
- マニラ(フィリピン)
まだ、全部読んでないが、備忘録的に印象的な部分を記したい。
もちろんこの本に書かれてることも偏ってるかもしれないが、ここに書かれてることは実体験に根ざしていて、誰かの利害に配慮しながら書かれたものではないということは読んでいて伝わってくる。
この本には、ニュースや報道が伝える内容とは違った話が出てくる。
それぞれの方にはそう見えたと言う話であって、正解やたった一つの真実という話ではないが。
1.ニューヨーク
筆者はニューヨークを拠点にして活動する音楽プロデューサー。
日本で一斉休校などの影響が出始めた2020年2月末のニューヨークは、コロナに関しては他人事だったが、他人事でなくなったのはその半月後。
在米歴37年近くになる筆者の述懐によると、80年代後半には十分華やかだったニューヨークは、コロナ直前の頃と比べると人が少なかったし、汚れた印象の街だったし、治安も良くなかったらしい。
人が増え、綺麗になり、治安も良くなったニューヨークはビジネスやエンターテインメントの街として以上に観光の街として膨らんでいたのだ。
その街から観光客が消えた。
ニューヨークで生活し始めた頃に先輩住民に教えられていたのが『寒い日には気をつけろ』、寒い日には犯罪が激増するのがニューヨークだったらしい。
コロナのせいで時代が逆戻りするのではと感じるようになったのが、観光客がいなくなり、エンタメの開催が全て止まり、ビジネスはリモートで展開されるようになって、表向きの人の移動が激減した中で、街で大規模なクラスターが発生したからだ。
クラスターの発生源はホームレス。
コロナ前から問題だったホームレスが、更なる問題になったのだ。
コロナ前のニューヨークのホテルは誰が泊まるのかと思えるほど高価だったが、どこも満室だったが、コロナでどこも空室になった。
約700軒あるホテルのうち140軒ほどが、クラスター防止のためにホームレス同士が接触しないようにするために分離させるためのシェルターとして使われるようになったが、それがどこなのかは公表されてないらしいが、1日あたり2億円が支出されてるとのこと。
おまけに刑務所でもクラスターが発生したため、軽犯罪者がクラスター回避のため釈放されホームレスとなり、これらのホテルで生活しながら、新たな犯罪を犯すのではと心配が尽きないらしい。
アメリカでのコロナ感染にBCGの接種をしないことが関係してるのではという話は日本でも取り上げられたが、これも日本人だと知らない事情が関係してるらしいのだ。
BCGを接種するとは、無毒な結核菌の保菌者になると言うことで、ツベルクリン検査で陽性になる可能性がある。
アメリカでは、政府職員や学校の先生や警察官など公的な仕事に就く場合、ツベルクリンで陽性が出ることが障害になるらしい。
このために、BCG接種をしない人が多いとのこと。
人が集まることで華やかな発展を遂げたニューヨークだが、人を集めての発展はもう無理ではないかというパラダイムシフトが起きつつある気配も漂っているらしい。
筆者は、在米25年経った時にアメリカ国籍を取ったらしいが、そういう人に対して日本政府は冷たいと言う話も書いてある。
それが高齢の親とのことであってもだ。
この本は、自分がその地にいたらと感情移入して読むと、日本で生活してるのとは違った風にコロナのことが見えてくるようでおもしろい。
気になるところをちょっとだけ抜き出してまとめようと思ったが、結構な文量になりそうなので、今日はニューヨークだけにして、しばらく続編を続けてみたい。