違う見方

新しい時代の始まり。複数の視点を持つことで、情報過多でややこしい現代をシンプルに捉えるための備忘録的ブログ。考え方は常に変化します。

一期一会が感じられる旅番組

テレビ番組の評価は視聴率によって下されることが多い。

 

その視聴率は最近では、従来の世帯視聴率から個人視聴率へとシフトしている。

 

ざっくり言うと、若者の視聴状況が計測できるのが個人視聴率で、世帯視聴率が計測できるのは年寄りだとされていて、広告業界やスポンサーが求めているのは個人視聴率の高さらしい。

 

業界内では個人視聴率はコア視聴率とも呼ばれているようだ。

 

松本人志言及の「コア視聴率」で分析 フジテレビとテレビ朝日の評価逆転も 6/20(日)

世帯視聴率の高い『ポツンと一軒家』は高齢者が視聴者の中心で、30代前半以下にはほとんど見られていません。だからなのか、テレビ朝日はあまり“コア視聴率”の話題を出したがらない印象です」

 

 

結局、広告宣伝のための指標が視聴率だという意味では、番組の評価としての尺度ととしては中途半端なものに過ぎない。

 

 

 

さて、話題にしたいのはポツンと一軒家について。

 

上記の記事によると、見てるのは30代後半以上の年齢層となるのだろう。

 

結果的に世帯視聴率が好調なポツンと一軒家だが、同時間帯に放送される無敵の存在だったイッテQの正反対の番組を作ったことになるのだろう。

 

 

『ポツンと一軒家』好調は“現代の奇跡” 所ジョージ&林修が分析「観る側の意識が変化した」

――番組が始まった当初から、これほどの人気番組になる手応えはありました?

 

【所】ないです(即答)。こんなにもポツンという言葉が一人歩きしだし、多くのみなさんに観ていただけたりするとはね。こんなにまで世の中に「ポツンと」という言葉が浸透するとは思いませんでした。ただ、当初からこうした暮らしや人生観があるんだな、と感じられた楽しさはありました。そもそも日本中にポツンと一軒家って少ないじゃないですか。それがテレビの視聴率につながるというのは、気になっている人がたくさんいたってことじゃないでしょうか。 

 

【林】視聴率に関して言うならば、前身の番組が非常に苦しみましたので(苦笑)、でもその中からご支持いただける企画が出てきたという感じですが…。自分だったらこういう企画は絶対に立案できないですね。山の中でポツンと暮らす人に話を聞いて何が面白いんだろうって思いますから。

 

 

 

評価の仕方やされ方の妥当性はさて置き、ライバルと同じフィールドで勝負するだけが勝負ではないなと、わたしは感じる。

 

 

ポツンと一軒家は、 暮らしや人生観が感じられる旅番組なのだと思えてくる。

 

旅には一期一会がよく似合うのだ。

 

 

もう一つ、旅番組つながりで印象的なのがNHKのこころ旅。

 

 

俳優・火野正平さんが相棒・チャリオ(自転車)に乗って日本全国を走ります!

その日の旅の目的地を決めるのは、みなさんから寄せられたお手紙。「人生を変えた忘れられない風景」「大切な人との出会いの場所」「こころに刻まれた音や香りの情景」「ずっと残したいふるさとの景色」など、お手紙に書かれたエピソードをもとに、ひとりひとりの心に大切にしまってある「こころの風景」を訪ねます。

たくさんの人々と出会い、上り坂にあえぎ、下り坂に笑い、時にほろりとすることもあるぶっつけ本番の旅。(チャリオをつれて、電車やバス、船、軽トラック!?に乗っちゃうことも!)

https://www.nhk.or.jp/kokorotabi/guide.html

 

 

 

 

今ではすっかりスタイルが確立し定着したが、視聴者の手紙から始まってることと、自転車で走りながらを含めて音の風景をきちんと録音できていることが大きな魅力に感じられる。

 

 

こころ旅を見ていると楽しみなのが食事の風景で、お店に入ることもあれば、お弁当持参の時もあれば、移動販売車を手配するということもあるが、これらのシーンには人情味が現れる。

 

また火野正平さんの個性を強く感じられるのが、走りながら目についた動物や鳥や虫や植物、時にはお地蔵さんに反応することで、どうやらこういうシーンが少なくないことで小さい子供のファンも獲得できているようなのだ。

 

 

こころ旅には都市のシーンは少なく、田舎や郊外が多い。

 

日本の田舎や郊外の、風景や景色はどこも似通っているのに、不思議と飽きを感じたりすることはなく、季節や天気の違いもありその都度一期一会を感じさせてくれるようですらある。

 

手紙に書かれた思い出の景色は映えるものなどではないが、物語が添えられてることで一期一会の輝きを増す。

 

寄せられる手紙には、

 

室生犀星の、ふるさとは遠きにありて思ふもの

 

を、感じさせるものも少なくない。

 

 

この感じがポツンと一軒家との共通点に感じられる。

 

 

ふるさととは、夏の冬服のようなもので、暑苦しくて鬱陶しく感じる時期があるかもしれないが、心や体が寒さを感じると懐かしくなるのだ。

 

 

ポツンと一軒家の視聴者が30代後半以上が多いことには理由がありそうだ。