コロナで注目されてるのが、苦境を脱するための補助金やクラウドファンディングなどの活用。
これらを上手く活用できた人や店や企業は『上手いことやりやがって』と多少やっかみも含まれた目で見られただろう。
しかし、目立つことなく上手くやってたところもあるのだ。
それは、規模は小さくても常連客を持っていて、その常連客との間にコミュニケーションを絆のレベルまで高められたところだ。
客商売(全てのビジネスは客商売)では、常連客はストックであり、一見客はフローと位置付けられる。
ビジネス用語として使われることが多いストックとフロー、両方とも大事なのだが対比されて使われる。
Wikipediaには次のように載っている。
- フロー - GDP、消費支出、投資、政府支出、政府財政赤字、経常収支、資本収支、総支出
- ストック - マネーサプライ、政府債務額、対外資産残高、資本総量、資本総額
勢いがある時や気持ちがノっていて攻めの気持ちが強い時にはフローを重視する傾向が強くなるが、気持ちが守りに入ってしまうとストックの方が気になり始めるものだ。
コロナがなければ、人々は世界の観光地を旅行し、ビジネスでも世界を飛び回る。
そうやって常時多数の人が宿泊の予約に苦労し、渋滞や満員に苦労するのが当たり前の時には、常連客よりも次から次に来る一見客を相手にする方が効率的だし流れ作業で対処できるので楽かもしれない。
しかし、一旦あんなにあったはずの一見客の流れが消えると、一見客を相手にしていた商売のほとんどはただ常連客を持ってなかっただけだという現実に直面するだけだ。
そういう商売の中には、いたはずの常連客を一見客を優先したために追い出した形になったものもあるだろう。
つまり、お客の側にとっても行きつけの店を失った人が少なくないはずなのだ。
コロナ禍以前から、常連客を大事にし良好なコミュニケーションが取れてた商売は、コロナ禍での落ち込みが少なかったどころか伸びてるところも少なくないらしい、もちろんエッセンシャルなビジネスや生活必需なビジネスに関してではなくてもだ。
フローである一見客の顔をただのお札だと割り切っていたビジネスが今苦しんでいる。
一方、行きつけや馴染みの店を失った人々は、コロナ禍の生活で『別に無いなら無いで不都合はない』と気付いたかもしれない。
世の大衆の気持ちは、静かにストック重視にシフトしてるはず。
もし、コロナが終息したら一気にフローが戻ってくるという期待に基づいて行動すると、とんでもない博打を打つことになるかもしれない。
もっとも、博才があれば勝ち抜けるのだろうが。
「楽しい」は飽きるけど、「嬉しい」は飽きない。「楽しい」は受動的でも得られるけど、嬉しいは能動的に鍛錬しないと手に入らない。「楽しい」は単利のフロー、「嬉しい」は複利のストック。だから趣味は両方あると良い。個人的には「鍛錬して上達することが嬉しい趣味」が好き。
— 池田紀行@トライバル (@ikedanoriyuki) 2021年10月12日
自分の周りを見渡して、興味や関心があることを、それはフローなのかストックなのかと分類して考えることは意味があるかもしれない。