Z世代(1996~2012年生まれ)の消費意識について書かれた記事があった。
この記事には、日本の消費行動の歴史を俯瞰で振り返ってる部分もあり、ざっと次のようなことが書いてあった。
1960~70年代は、モノの所有に価値を見いだす「モノ消費」が盛んだった。
そこから時を経て80~90年代に入ると、モノが持つ記号に価値を見いだす「記号消費」や「ブランド消費」が増えていく。モノ自体ではなく、モノから発される“メッセージ”が価値を持つようになっていったのだ。
さらに90~2010年代には“心の充実”が重視され、モノやサービスを購入したことで得られる体験に価値を見いだす「コト消費」が活発になった。その一例として、旅行、レジャー、グルメなどが挙げられる。
「皆と同じものを消費する」時代から、「唯一無二のものを消費する」時代へ、移り変わっていったのだ。
コト消費が落ち着く一方、平成後期から令和にかけて、Z世代で広がりつつある消費行動が「トキ消費」だ。
トキ消費とは、その時、その場でしか体験できないコトを共有する消費のことを指す。二度と同じ体験ができない“非再現性”、不特定多数の人と体験や感動を共有できる“参加性”、場の盛り上がりに貢献していることが実感できる“貢献性”の三つの欲求を満たそうとする消費行動のことだ。
だが、2020年に新型コロナウイルスが爆発的に流行すると、その場、その時限りのイベントに参加する機会は一気に失われた。
「そこで今盛んに行われているのが『ヒト消費』です。
ヒト消費とは、『ヒト』自体をエンタメとして捉え、消費していく活動のこと。昨今耳にする(好きなタレントやキャラクターなどを応援する)『推し活』に近いでしょう。元々『ヒト消費』という言葉は存在していましたが、コロナ禍の状況はヒト消費が活発になるには好条件だったのです
紹介されてるヒト消費はいわゆる推し活で、それをファンや追っ掛けと呼ぶなら昔からある定番のスタイルと大差ないように感じるが、違いがあるとするならば、ファンや追っ掛けは価値観や行動の多様化とリンクしてモノ消費やコト消費やトキ消費を絡めながら拡がり浸透した活動だったのに対し、推し活にはそれくらいしか出来ないからという狭められ縮小する価値観と行動の一致が感じられる。
モノ消費やコト消費を堪能した先にある推し活のようなヒト消費と、モノ消費やコト消費を堪能するというプロセスがなくヒト消費に意識や価値観が向かうことの間には違いがあって当然だ。
違いは、自己実現意識と社会の有り様が関係するだろう。
ヒト消費の先に地球消費や宇宙消費が生まれるのか?
〇〇消費という言い方をすると、食い尽くすイメージがあるが、ここでいう消費は、意識エネルギーの向かい先という意味。
あるいは、自然消費や環境消費に向かうのか?
もしかして、輪廻のようにまたモノ消費へ戻るのか?
現実社会では、消費に向かっていた領域の一部は投資へと向かい出している。
どんな分野に対してであろうと、消費が中心であれば巡り巡って「金は天下の回りもの」が成り立つだろうが、投資への流入が増えれば増えるほど金はどこを巡っているのかが分からなくなる。
投資には詐欺や宗教も含めていいだろう、本質的には全く違うのだが、詐欺や宗教にハマる人にとっては意識には大差ないだろう。
そうすることで悩みや心配を解決し気持ちが解放されると信じての投資なのだ。
起きた変化を振り返ることで説明はできても、これから起こるであろう変化を予測するのは地震の予測のようにしかならない。